
小さな子どもからお年寄りまで愛されている「将棋」。
最近の将棋界では羽生善治棋士が初の永世7冠に輝き、国民栄誉賞の受賞が決まったり、藤井聡太棋士が、その羽生永世7冠に公式戦で勝利するなど話題が尽きません。
先日将棋のテレビ番組で対局盤を見ていたら、王の駒には「王将」と「玉将」があることに気がつきました。王の駒以外はすべて一対の同じ駒になっているのになぜ、王の駒だけが違うのか?調べてみましたので、気になる方は是非、一緒に見ていきましょう。
「王将」と「玉将」との違いは?
ズバリ言いますと違いはありません。
駒の動きも同じですし、もちろん機能も一緒です。
「王将」=「玉将」と考えてください。
なぜ、王には2つの駒があるの?
なぜ、「王将」「玉将」の2つの駒があるのかというと、もともとは「玉将」という駒が2つあったのです。その証拠に平安将棋や小将棋・中将棋・大将棋と言われる昔の将棋の駒には「王将」は存在しません。
「玉将」の玉とは宝ものを表わしていて、金や銀も宝物を表す言葉ですが、より格が上ということで玉が使われていて、それが、いつしか、1つだけ「王将」となっています。ですから、そもそも「王=王様=KING」という意味ではないことはわかりますね。
「王将」「玉将」が2つ存在する理由については「天に二日なく、地に二王なし」(天に太陽が一つしかないことと同じで一つの場所に二人の王は要らないという意味)との言葉からと言われています。
「王将」と「玉将」の使い方は?
正式なルールはありませんが、「王将」を実力などの上位の者が使い、下位の者が「玉将」を使う習わしがあります。なお、タイトル戦などでは上位・下位は関係なくタイトル保持者が「王将」使っているようです。
よく、先手が「王将」、後手が「玉将」を使用すると仰る方がおりますが、先手・後手を決めるのは「振り駒」で決めますので関係ありません。
将棋の駒の秘密
先程もお伝えしましたが、将棋の駒はすべて「宝物」を表わしています。
金・銀はお金にまつわるものですからみなさんもお分かりいただけるかと思いますが、桂馬は肉桂(ニッキ)、シナモンを表し、香車は香木(こうぼく)、心地よい芳香を持つ木材を表わすなど、将棋盤の下段には宝物を並べ、飛車は馬車を、角は牛車を表わした駒を中段に揃え、歩である兵士たちが上段に構え、宝物を守っていることになります。
ですから、本来の将棋はやはり下段に置いてある「玉将」という金・銀・桂馬・香車よりも大切な宝物を取り合う、詰将棋の「双玉将棋」(玉が盤面に2つある将棋)が基本であることがわかります。宝物が並んでいる下段に「王」がいるのは不自然になってしまいますね。
まとめ
「王将」と「玉将」の違いについてお分かりいただけましたか?
「王将」でも「玉将」でも、動き方や機能は全く変わりがありませんでした。また、玉は宝物を表わし、その玉を取りに攻め入るというのが将棋であるということもわかりました。
藤井聡太棋士の出現で大いに盛り上がっている将棋の世界。今回のことだけ理解が出来ただけでも、次から将棋を見る目が変わってきそうですね。